真白と真黒の少女が、野原の上。
あっちを見てもこっちを見ても、草原が続くだけだ。上を見れば、突き抜ける青空。
涼しげな風が一つ吹いて、草と髪を揺らしていく。
空を眺めるようにして仰向けになって、二人は居た。
「ねむたいねー」
そう言って黒は、眠たそうに眼を閉じた。白が横目にそれを見る。
「いいお天気だねー」
よほど気持ちがいいのだろう、黒の言葉には覇気が全くない。
「そうねぇ」
白もいつもとは違って気の抜けたような声で言う。その目は黒を横に捉えながらも、うとうとと閉じてしまいそうだった。
黒は目を開いて、広がる空を見る。ゆっくりと雲が流れていく。
「お昼寝しようかな?」
無邪気に黒が言う。それを聞いて、白はくすっと微笑んだ。
こんなに優しい風と陽だまりに包まれていたら、誰だって眠たくなるだろう。
「いいわねぇ。お昼寝」
白はそう言って、黒と向き合うように寝返りを打った。
黒の大きな真黒な瞳と、白の綺麗な赤い瞳が、それぞれを互いに映し合う。
二人とも解っているつもりだ。自分たちが、決して相容れることはないと言う事を。
それでも、二人はお互いが大好きだった。例え触れられなくても、傍に居たかった。


「お昼寝って気持ちいいよね。でもすぐ終わっちゃう。もっと沢山お昼寝したいのにな」
さぁっ、と風が吹いた。草が揺れて耳に触れて、くすぐったい。
「出来るわよ。もっと、ずーっと」
その白の台詞に、黒は飛び跳ねるように起きた。白とは逆に、その目を輝かせて。
「本当? 白ちゃんっ」
「ええ、もちろん」
そう優しく言って、白は鈍色の銃を構えた。そのまま銃口を黒の額に当てる。
黒は怖がりもせず、むしろ不思議そうに白を見つめた。
「白ちゃん、本当にこれで、たくさんお昼寝できるの?」
「ええ…もちろんよ」
引き金が動く。鮮血が草に噴きつける。
銃口は次に、白の胸を見つめた。
「おやすみなさい」



柔らかな陽だまりの中で、お昼寝中。