数日後のこと。
今度はグラウンドの中央に、兎の惨殺死体があった。
四肢と首と胴体とを全て切り離され、並べてあった。
血や内臓までもが抜き出され、その周りにばら撒くように散らしてあった。
思わず嘔吐してしまった生徒もいた。もちろん学校全体で集会が行われ、小鳥の件も合わせて校長から話があった。
命を大切に。そんなことを言っていた。
少年は酷く呆れて、それを聞いていた。
こんなにも軽い命なのに。でも、もっと軽くて要らない命があるのに。
どうしてそればかりが優先されるんだろう。どうして要る命が無駄に死ぬんだろう。
もっと汚い命があるのに。
そう考えて、また自嘲気味に笑った。


兎の耳だけが、何処を探しても見つからないままだった。