―ああ、あの子も美味しそうに食べていたのに。






私は不意に目を開いた。それがいけなかった。
ずっと目を閉じていればよかった。そうすれば何も見なくてよかったし何も知らなくてよかったんだと思った。だけど、目を開かないとナイフとフォークを使って食べる事が出来ない。
間違えて手首を切ってしまってはいけないから。
だから目を開けたの。だけど私はひどく後悔した。目を開けなければよかった。


料理なんて、何処にも無かったんだから。